新型クラウン・カローラスポーツに搭載されたLINEマイカーアカウント機能
トヨタから発表された新型クラウンとカローラスポーツ。ともにLINE アカウントと呼ばれるLINEを使った車とのコミュニケーションが新機能として注目されています。
トヨタが新たに発表した「真のコネクテッドカー」として主要な機能のうちの一つです。
本記事では、「このLINEアカウントで何ができるのか?」そして続いて発表されたClova Autoによるサービスについて、どんなものなのか解説していくと同時に、関連するAI技術戦略についても触れています。
LINEでクルマと会話できる!新クラウン・カローラスポーツの機能とは?
「LINEマイカーアカウント」という機能が話題になっていますが、いったいどんなものなのでしょうか?
これらのクルマのオーナーが、事前のユーザー登録によって、対象車両をLINEで友達設定しておくと、ユーザーとクルマの間でトークのやり取りが可能となります。
そしてLINEトークで話し言葉のようなやり取りを行うことによって、目的地設定をはじめとするいくつかの操作を、車から離れていても実行することができるというものです。
現在、可能な機能は以下の4つの機能のようです。
- 目的地検索と設定(設定した目的地はGメモリに格納され、車側の操作で簡単に目的地設定できます。)
- 目的地付近の天気予報の照会
- 燃料の残量から判断した給油の必要性の確認
- 出発時間の照会
クルマに乗車していないときでも、これらの操作がスマホ上のLINEトークから行うことができます。このような操作をするためには、トヨタのスマートセンターが少なくとも以下のような情報をクルマからいつでも取得できなくてはなりません。
- クルマの現在地情報
- 燃料の残量
これらの情報をDCM(Data Communication Module)を通じてクルマから取得して、応答するという仕組みです。
そしてインタラクティブなやり取りの中で、ユーザーからのリクエストを認識し、目的を実行します。
出発時間の確認などは、計算するのに必要な情報が不足しているとこには、クルマ側が「何時に到着したいですか?」といった問い合わせをしてくることによって、ちょうどよい出発時間を計算して教えてくれます。
ちょっとした空き時間に目的地をナビに登録しておくことができるので、筆者が思うに、これだけでもとても便利だと思います。
しかしながら、ここまでできると、そのうち、、
「メンテナンスのタイミングを教えてくれる」とか、「おすすめのランチの店を教えてくれる」とか、「何かのキャンペーン情報を送ってくる」とか、「出発時間になると教えてくれる」とか、いろいろと応用が効きそうです。
では、「LINEマイカーアカウント」の次に来る技術とはどんなものになるのでしょうか?
Clova Autoとは?
新型クラウンとカローラスポーツが発表された2日後の2018年6月28日。
今度は「LINE CONFERENCE 2018」において、「LINEのAIアシスタントであるClovaが、トヨタから12月に発売される車から順次利用可能になる」という発表がありました。
そのサービスの名称が 「Clova Auto」 です。
Clova Autoを説明する前にまずはClovaについて解説します。
Clova とは?
2017年の3月ごろ、LINEからClovaというAI プラットフォームが発表されました。
AI プラットフォームって何?と言う方のために簡単に説明をしますと、いわゆるGoogle HomeやAmazon Alexaのように、機器に話しかけると何か実行してくれる一連のAI エージェント製品の基礎となる仕組みのことです。
GoogleやAmazonだけでなく、LINEもAIを使って会話ができるようなベースとなる仕組みを持っているというわけです。
家庭で使用するClovaは、すでに製品がいくつかでていますので紹介します。
いずれも、AIアシスタント付のBluetoothスピーカー製品です。
- Clova Wave
- Clova Frends
- Clova Frends mini
このほか、最近 Clova Deskと呼ばれるディスプレイ付のAIアシスタント製品も発表され、Clovaが注目されています。
また、「Clovaができること」を特に「スキル」と呼んでいるようです。
このスキルは、現在のところ天気予報やニュース、翻訳等、すでにいろいろと利用できるものがあるのですが、さらにこれらのスキルを拡張するためのSDKである、「Clova Extention Kit」なるものが公開される予定だそうです。
すでにいくつかの企業が先行してスキルの開発を行っていますので、今までできなかったさまざまな情報の取得がClovaによって実現可能となり、機能が拡張されていく予定です。
既にいくつかCMも放映されているようですし、もちろん持っている方も多いと思います。
大阪弁でも認識できるようですが、どのくらいいけるのでしょうか?
Clova Auto何ができる?
上記、LINE CONFERENCE 2018の発表記事を見てみますと、オンボードOS上にClova Autoなるソフトウエアモジュールが載っている図をみることができます。
また、タッチや音声入力、音声出力のインタフェースも接続されていますので、タッチ入力や音声認識により、AIエンジンと対話しながらの操作が可能なようです。
現在のクラウンでは、スマートフォンのLINEを介した操作になりますが、Clova Auto搭載の車両では、車のカーナビなどの仕組みから直接話しかけて、さまざまなサービスを受けることができるようです。
いわば、車にGoogle HomeやAmazon Alexa, Clovaが搭載されているような使い勝手になるものと考えられます。
トヨタのAI開発の総括・評価
トヨタがLINEと協業して、Colva AutoというAIプラットフォームを構築しています。
クルマの中では、運転中はタッチ操作がやりにくくなりますので、音声認識によるインタフェースはとても有効ですし、注目されています。
恐らくは、Clova Auto対応の専用トヨタ純正カーナビが誕生し、現在のT-Connectエージェントをはるかに上まわる認識率で、さまざまなことができるようになるのでしょう。
「北米では、Alexa搭載車を発表し、国内ではT-connect エージェントもやり、KIROBO miniもやり、さらにはClovaもやる。」
トヨタはこの先どういう方向に向かうのかよくわかりませんが、AIを非常に重要な技術戦略としてとらえていることは間違いなさそうです。
筆者の個人的な予想ですが、T-Connect を拡張する形で、Clova Autoに置き換わっていくのではないでしょうか?
そして海外市場では、その国に合わせた形で、Alexaを搭載したり、Clovaを搭載してくるのではないかと予想します。
これからのコネクテッドカーがどうなるのか楽しみですね。
かつての人気ドラマ「ナイトライダー」のように、クルマと自由に話ができるようになるのは、そんなに遠くは無いようです。