スマホ性能の高度化
スマートフォンの性能やオンラインの接続性がよくなるにつれ、カーナビの独自性が最近どんどん薄れてきてしまっています。
「ヤフーカーナビ」や「TCスマホナビ」など、無料で交通情報まで使えるスマホアプリが出現してしまっては、「車載カーナビがなくても、これでいいや」という人が少なからずいるはずです。
→【関連記事】Yahoo!カーナビのメリットを簡単に説明します!
特にiPhone等のようなデバイスでは、センサー系の精度やチューニングが優れており、自車位置や進行方向の信頼性も高く、本当に車載カーナビの居場所がなくなってしまいます。
また、ルート検索においても、高い演算能力とプローブ情報によるビッグデータを利用できるサーバー側で行われますので、車載カーナビよりもよいルートを提案する場合もあります。
でも、自車位置精度だけは負けません。
車載カーナビは、以下の理由で自車位置精度に関しては、スマホに負けません。
車に本体が完全に固定されている | ジャイロの精度が高くなる |
車速パルスが入力されている | 車のタイヤの回転で、移動距離が詳細にわかる |
マップマッチング | カーナビは車載を前提としているので、ある程度強く道路にマッチングさせます。そのため走行中の位置精度は高くなる。 |
外部GPSアンテナの利用 | 最近はスマホとあまり大きな差がありませんが、GPSアンテナがフロントガラスの前部などに配置され、より多くの衛星からの電波を受信することができます。 |
車載カーナビの生きる道
では、車載カーナビでなくては、実現できない機能とは、なんなのでしょうか?
細かなカーナビ性能や、走行中の操作性は車載カーナビの方が優れているのですが、「地図が見えて現在地がわかれば」なんとなく目的地へ行けてしまうのも事実。
そうするとスマホさえあれば、カーナビがなくても何とかなってしまうように感じられます。
しかしながら、スマホでは、どうしても真似のできない機能といえば、「スピーカーによる2チャンネル以上の再生能力」です!
最近は、ヘッドフォン再生もしくはBluetoothスピーカーが日常
20~30代くらいの若い世代に多いと思いますが、あまり普段からスピーカーによるステレオ再生で音楽を聴かない人が増えているのではないでしょうか?
音楽聴くのもヘッドフォン 、大きい音で聞くにしてもせいぜいBluetoothスピーカー。
これで十分ということになってしまうと、車でも「Bluetoothスピーカーを持ち込んでそれで十分!」というユーザーも意外に多いのかもしれません。
市販カーナビに残された打開策は、スピーカーによる高音質再生
三菱電機、JVC Kenwood、パイオニア、クラリオンを見ますと、そろって高音質の方向に舵をとっています。
オンラインサービスでは、カーナビはスマホにかないませんから、いかに車内での再生音でスマホと差別かを計れるか?
そしてそこにユーザーがどれだけお金をかけてくれるのか?がカーナビメーカーにとっての最大の関心事となります。
メーカー各社の高音質化技術
クラリオン
NXV977D、MAX777Wをはじめとする最新型のカーナビでは、Full digital sound systemによる徹底したデジタル伝送によるハイレゾ再生システムに対応しています。
96KHz/24bit digital信号に変換し、ヘッドユニットからスピーカーまでの情報伝送をデジタル化しています。そしてそれらのデジタル信号を直接駆動可能なスピーカーによって伝送ロスの無い再生を可能としたシステムです。
このデジタル化によって、大幅な省電力化も達成しています。
JVC Kenwood
MDV-Z905やtype-M において、徹底した高音質設計とハイレゾ対応を実現しています。
- 32bit AKのDAC/DSP
- 内部では192KHz/32bitにアップコンバートして再生
- SONY LDAC対応のBluetoothオーディオ
- 高調波成分を補間するK2技術
- ハイレゾ対応スピーカー
これらの技術により、ハイレゾ再生を実現しています。
→【関連記事】LDACに対応! Kenwood 彩速ナビ MDV-905を解説
三菱電機
DIATONE SOUND NAVIにおいて、徹底した高音質設計とハイレゾ対応を実現しています。
- 32bitバーブラウン製DAC
- 電源回路やパーツによるチューニング
- 回路基板や専用シャーシの設計
- 高純度銅7Nケーブルを採用したハーネス
- ハイレゾ対応のDIATONE サウンドスピーカー
→【関連記事】最近注目の三菱 DIATONE ナビ NR-MZ300PREMI/NR-MZ200PREMI-2 を解説!
パイオニア
パイオニアの創業80周年記念として、銅メッキシャーシを採用したサイバーナビ xシリーズ、AVIC-CZ902XS-80 を発表しました。
- 銅メッキシャーシ
- 高音質パーツ
- 回路設計
- バーブラウン社製32bitDAC
- 96KHz/32bitによるDSP演算
- 高音質ハーネス
- 高調波補間技術:マスターサウンドリバイブ
受注生産ということで、ビスまで銅メッキするという徹底ぶり。音に特化した別格の限定モデルとなるようです。
カーメーカーの高音質サウンドオプション
最近、あまり聞かなくなってしまいましたが、かつては「スーパープレミアムサウンド」といわれるような高音質チューンされたスピーカーとオーディオが、新車にメーカーオプション設定されていました。
Bose サウンドシステムなどはかつて設定車が結構あったのですが、最近減ってきているようです。こういったメーカーによって専用チューンされたものも、高音質の再生環境として、筆者はおすすめします。
高音質体験をしよう!
コンサート体験
オーケストラやアコースティック演奏による生楽器の音の体験は、とても大事です。
自分の耳に対するマスターサウンドとなる体験ですから、普段からこういったコンサートでいい音も聞きましょう。
そうすると、普段聞いているオーディオ機器では、すぐに物足りなくなるはずです。
最近のロックのコンサートの音響は…??
先日筆者は、米国の某ロックバンドのコンサートに行ったのですが、なんだか音がうるさかったです。音が大きく割れていて 、ベース音がビビッていて…けして音質は良くなかったです。
ロックでギターの音がひずんでいるのはあたりまえですが、その中にも各アンプメーカーの音作りが反映されていて、そんな中にもよいサウンドがあるもの。
ロックコンサートといえども、ただ音が大きいというだけでなく、やはりいい音で聞かせて欲しいと思うのです。
オーディオフェアなどの視聴会に行こう!
なかなかステレオサウンドの良さを知る機会は少なく、街の電気屋や量販店に行っても、周囲がうるさくて聞いているどころではない状況がほとんど。
筆者おすすめは、年に1,2度開催される、オーディオフェアなどで、高級オーディオと言われる機器による試聴会に参加することです。
普段のヘッドフォン環境とは異なる、自然な音の広がりを是非体験していただきたいと思います。
まとめ
最近の高音質化の方向性は、
- フォーマットとしてのハイレゾ対応
- 量子化ビット数24~32ビットを標準化
- サンプリング周波数は96~192KHzを標準化
- 上記に対応したDSPやDACの搭載により、ハイレゾ音源を直接再生可能にする
- 音質重視のパーツ選定(コンデンサ、抵抗、ハーネス)
- 電源・グラウンド、回路設計の見直しによる高音質化
かつて、DSPによる音場再現が活発にフィーチャーされた時期がありましたが、そういった音作りよりも、ピュアオーディオ的な音質向上手法が好んで導入されている傾向があるようです。
街の中は、騒音・雑音であふれており、ゆっくりスピーカー再生を楽しめる環境がなくなっているのも事実です。現に、ノイズキャンセリングヘッドフォンが高額にもかかわらず、売れているところを見ても、そんな時代と状況を反映していると思われます。
「ノイズが少ない」のは、「音が良い」条件の1つにはなると思いますが、「ノイズが少ない=音が良い」とはなりません。
是非、自分で「良い」と思える音の体験をしてみてください。
車の中は、数少ないステレオ再生を楽しめる貴重な場所と時間を提供してくれます。
あなたの好きな曲を、納得の音質・音場で聴かせてくれるカーナビを選んでみてはいかがでしょうか?
→【関連記事】ハイレゾを車で再生するには?