ドクター・ヘリは全国にどのくらいあるのか?
ドクターヘリの普及促進滑動は、こちらのNPO法人 緊急ヘリ病院ネットワーク HEM-Netで行われています。

現在、このようなヘリは全国で51機、41都道府県に設置されています。各県すべてに1機以上網羅されるところまでには至っていません。
北海道に4機、東北の各県に2機ずつありこちらの数は足りているようですが、北陸での設置がまだ完了しておらず、全県での設置が期待されます。
何分で事故現場にいけるのか?
従来、自動車で衝突事故が起きた場合は以下のように情報が伝達され、救急医療が行われているそうです。
- 事故発生から消防への通知(5分)
- 消防が把握してからヘリの要請(15分)
- ヘリ出動から現場へ到着・治療開始(18分)
事故発生から救急医療開始まで、平均して38分かかっているが現状だそうです。
外傷患者の死亡率を表現した「カーラーの救命曲線」によると、大量出血した場合の38分後の死亡率は82%にのぼるとのこと。
これではいくらドクター・ヘリでも、大量出血の患者を救うことはできません。
車が事故に遭遇したときに連携する「D-call net」とは?
緊急自動通報システムであるD-Call Netは、2015年11月30日から試験運用が開始され、2018年中の本格運用を目指しています。

D-call netに対応した車両では、さまざまなセンサー情報をエアバックの作動と同時に情報センターに送信します。
その情報とは車の位置情報だけでなく、
- シートベルト装着の有無
- 車の衝突時の速度
- どこから衝突したか
などの情報も送られます。
送られた情報をコンピューターが乗員の被害状況を過去の事例から総合して判断。乗員の死亡・重症率を即座に表示します。
そしてこれらの情報を、最寄の提携救急医療センターで即座に参照することができるようになっているため、いままで、消防からの要請待ちだった病院側は、積極的にヘリの必要判断を早期に行うことが可能になるのです。
この仕組みによって、ヘリの出動要請までの時間を大幅に短縮することが可能となり、2011年に行われたテストでは、事故発生から現場での医療開始までの時間を17分間短縮し、21分で医療を開始することができたそうです。
これならば、先に紹介した大量出血者の死亡率を14%まで下げることができ、多くの人命を救うことができるのです。
どんな車が対応いしているの?
このようにエアバックの動作と連携して事故に関する情報を送信する仕組みをAACN(Advanced Automatic Collision Notification)と呼んでいます。
この機能はトヨタとホンダがいくつかの車に採用しているHELP-Netと呼ばれる仕組みで利用することができます。
しかしながら、エアバッグの作動で自動的にコールセンターにつながる車はレクサスのLX570等のいくつかの車両に限られており、ホンダアコードではエアバッグ作動時にナビに表示されるボタンを押すことではじめて、センターにつながるようになっているそうです。
本当に致命的な事故のときには、ボタンを押すどころではないと思いますので、是非ここは全自動でつながるようになってほしいものです。
また、ホンダのヘルプネット対応車の多くは、スマートフォンのテザリングを利用します。
乗員が大変な状況になるほどの事故のときに、スマートフォンが壊れずに通信を続けてくれるのでしょうか?
この辺りは是非、車内の破損しにくいところに設置されたDCM(Data Communication Module)を使ったHELP-Netを実装して欲しいところです。
まとめ
ドラマ「コード・ブルー」で認知度が急上昇中のドクター・ヘリと、車の衝突事故が連携するシステムについて紹介しました。
このドラマのロケで使われている千葉の北総病院も、D-Call Netの試験運用に参加している9つの病院の内の1つです。
このD-call Net、都心部ではなかなかヘリの着陸場所がなく、救助が難しいものの、それ以外のエリアではとても有効な救急手段であると思われます。AACN対応車の普及とヘリに対応した病院が増えることによって、交通事故による死者数がさらに減少することを祈ります。