カーナビと接続するためのBluetooth profile(ブルートゥース・プロファイル)の解説

カーナビでほとんど標準となったbluetooth

ハンズフリー通話、Bluetoothオーディオに利用するため、カーナビではすっかり標準となったBluetooth。スマートフォンでもほとんど標準で搭載されていますので、使わない手はありません。
「まだ使ったことがないので是非使ってみたい」とか、「こんな使い方があるから使ってみたい」という方のために、現状を解説してみたいと思います。

Bluetooth(ブルートゥース)って何?

小型、低消費電力の近距離用無線(電波)通信です。
通信モードによりますが、基本、対象機器とペアリングして1対1での通信に使用します。
2.4GHz帯の周波数の電波を使っています。電子レンジが出す電波と近いので、ときどき話題となりますが、周波数ホッピングにより頻繁に切り替えながら使用するため、特に大きな問題はありません。
2.4GHzを利用するWifiの同時使用により、若干スループットが下がるという事例もあるようですが、車内ではwifi, bluetoothの同時使用は少ないと思いますので、あまり大きな問題にはならないと思われます。

BluetoothをWifiと比べた時の最大の特徴は?

・消費電力が圧倒的に少ない
スマホ側のバッテリーも長持ち

・到達距離が短い
Power Class1言われる規格の製品で100m、一般にはClass2の製品が使われており、電波の到達距離は10m程度です。

・伝送速度が遅い
バージョンにもよりますが、およそ1Mbps程度(通話や音楽の伝送には十分です。)

Bluetoothで何ができるの?プロファイルとは?

以下にBluetootでできることを列挙します。見出しにあるプロファイルと呼ばれるものをカーナビとスマホが同時にサポートしていれば、その機器間でこれらの機能を利用できます。

プロファイルとは、Bluetoothデバイス間で行われるアプリケーション通信のいくつかの種類毎に、あらかじめ定められたプロトコル(通信方式のようなもの)です。

ハンズフリー通話:【利用プロファイル】HFP (Hands-Free Profile)

携帯電話やスマホを経由したハンズフリー通話に対応します。

電話帳を利用した通話:PBAP (Phone Book Access Profile)

携帯やスマホの電話帳情報を転送するためのプロファイルです。このアドレス帳を使って発信したり、かかってきた電話の登録名を表示したりすることも車側のアプリによっては可能です。

Bluetooth経由でのテザリング:PAN (Personal Area Network Profile)

スマートフォン経由でインターネット接続する場合には、「Wifiテザリング」がポピュラーですが、こちらのBluetoothテザリングの方が消費電力が少なくカーナビで使うにも十分な通信速度を確保しています。

Bluetoothオーディオ: A2DP (Advanced Audio Distribution Profile)とAVRCP (Audio/Video Remote Control Profile)

ステレオでの音声伝送と、選曲などのコントロール機能をこれらのコーデックでサポートします。
A2DPをサポートしている機器は、最低限SBCという音声コーデックをサポートしています。

このコーデックの他に、aptXやAAC等、SBCよりも高音質で低遅延なものが存在します。

送信側の再生機(スマホやウォークマン)と受信側のカーナビが、両方ともこれらの高音質コーデックに対応していれば、そちらが選択されより高音質な音楽再生が可能となります。

※コーデックによる音声の伝送遅延について

スマートフォン画面で動画を見ながら、音声だけカーオーディオのスピーカーで聴きたいなんてことがありますね。そんなときにBluetoothオーディオを利用すると、音だけ遅れて聞こえる現象が発生します。

「機器側でエンコード → カーナビでデコード → 音声出力」

の処理過程でとても時間がかかることが原因です。

SBCに比較して、この遅延がとても少ないのが、aptX。
iPhoneユーザーはカーナビ側が対応していればAACを利用することになりますが、AACはSBCよりもやはり低遅延です。
このような使い方をする場合には、是非、低遅延コーデックに対応したスマートフォンとカーナビをご用意ください。

Kenwoodのカーナビは、従来上位モデルがこのaptXに対応していましたが、新しいモデルからaptXに代わってLDAC対応になりました。ソニーのXperia辺りでLDACに対応しているスマートフォンを持っている人が増えてきたことによるのではないかと推測します。またハイレゾ対応のウォークマンにも採用されているので、LDAC対応製品が今後増えてくるのかもしれません。

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しかしながら、スマートフォンの再生アプリで、画像と音声の遅延を調整できるソフトを選べば、問題は概ね解決しそうですね。GOMプレーヤー等で対応可能です。(スマホ版はやや広告が多いのが気になります…。)

【関連記事】ハイレゾを車で再生するには?

アプリ連携、各種データ通信:SPP (Serial Port Profile)

スマートフォンとカーナビ間のアプリデータの無線通信では、一般的にこのSPPが使われます。ほとんどのBluetooth機器でこのプロファイルが標準的にサポートされています。

音声認識:HFP, SPP

カーナビが通信型の音声認識機能に対応している場合には、カーナビのマイクから取り込んだ音声をスマートフォンに送り、解析結果のデータをスマートフォンから受信する必要があります。

発話音声のスマートフォンへの送信にはHFP、解析結果のスマートフォンからの受信にはSPPが使われるようです。

※他にも多くのプロファイルが規定されていますが、ここでは車両での利用に直接関係の無いプロファイルの説明は割愛します。

Bluetoothの規格情報

Bluetoothは登場してから、さまざまな改良が加えられ現在まで発展してきました。いわゆるバージョン番号のことです。主な変更点を列挙します。現在の最新版はBluetooth5.0です。

  • 1.1: 普及版
  • 1.2: AFH(2.4GHz帯の干渉を避ける仕組みを採用)
  • 2.0+EDR: 高速転送モード追加
  • 2.1: ペアリング簡略化、消費電力モード
  • 3.0: 24Mbpsに対応
  • 4.0: 大幅な省電力化に対応(BLE=Bluetooth Low Energy 対応)
  • 5.0: 低消費電力を維持しながら、通信速度を変え、通信距離の延長にも対応

クルマ以外でのBluetoothの身近な利用例は?

車以外にもいろんなところに利用されているBluetoothです。
いくつかのおすすめ商品と共に紹介します。

・ワイヤレスヘッドフォン

こちらはたくさんの製品が発売されています。

【関連記事】おすすめノイズキャンセリング・ヘッドフォン

・マウスやキーボードなどのPC周辺機器

筆者おすすめのエレコム製静穏マウス、夜間や図書館などでもこれならOKです。しかも低価格!

・アラームタグ(無くしたものを探すときに、スマホからのコントロールでアラームを鳴らすキーホルダー)

筆者としては、なかなか納得できる商品が見つけられておりません。

出先でペアリングが切れたり、電池寿命が短かったり、不用意に鳴ったりする製品もあるようなので、よくチェックしてからの購入をおすすめします。

・ウェアラブルデバイス、IoTへの対応
Bluetooth4.0の登場により、大型バッテリーを保持できない小型機器への応用が可能となりました。ボタン電池でも長期間稼動できるものが増えてきました。

まとめ

最近、あまりCDを車に持ち込むこと自体が少なくなってしまいました。

スマホにすでに入っている音楽を聞くか、youtubeで探したものを聴くといった音楽の楽しみ方が最近は一般的かと思われます。そんなときにBluetoothオーディオが便利です。

車に乗り込んでいざ運転することになっても、スマートフォンを使いたい状況は多々発生し、信号待ちや渋滞中、ついスマホ画面を見て操作してしまうことはありがちです。(実際は違反となりますので注意してください。)

このような運転中のスマートフォン操作による事故を防ぐためにも、「ハンズフリー通話」や「ナビ画面での音量・選曲操作」ができるということは大切です。

まだBluetoothを利用していない人で、運転中にもスマートフォン機能を使用したい人は、事故防止のためにも是非これらのBluetooth機能を活用していただきたいと思います。

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